タカサゴキララマダニ

2008/07/09

今年は、七夕の前に梅雨が明けた。
高知市から西条へ抜ける国道194号線は5月の連休前に通行止めとなったが、
現在は片道交互通行となり、2分待ちで通れる。
工事をして下さった方々に感謝いたします。

 

5月末から山へ登らずにいたが、梅雨明けと全面通行止め解除とともに、
山のムシが疼いて、7月6日に寒風山へ登った。

 

晴天で気持ちよかったが、風もあまり吹かず、かなり暑い登山となった。
往復3時間強で水分を1500mlほど飲んだが、ほとんどが汗となる。
出会った登山者で多いのは女性2-3人のパーティー。
次に夫婦の方。その次が男性3人ほどのパーティー。
私のような単独行はごく少ない。
女性の登山者には、日焼け防止のためか、
この暑いのに厚手の長そで、ズボンのひざ下にはスパッツという方が多い。
また、虫よけのために、
帽子と顔面ネットが一体のかぶり物を使う方もよく見る。
登山口が1000mを越える山では、蚊は少ないが、
8月が近づくと小型・大型のアブが発生する。
顔の汗がタオルでふけなくて大変そうだが、
虫の嫌いな人は重宝するかもしれない。

 

先ごろ病院で、6月に山仕事をした後から、
背中に発疹があって痛いのですが、と来られた患者さんがいた。
背中を拝見すると、小豆大の黄緑色の虫が喰いついている。
教科書的に見たことはあったので、
「マダニ」が喰いついてますね、と診断した。
マダニはまれに人も感染する病原体を持っている。
しかし、喰いついたマダニをどうすればよいか、
内科の本には書かれておらず、
皮膚科の本には、「切除」としか書いていない。
「山のトラブル110番」のような本をみると、
「ディスポの注射器の端を切断して筒にし、吸引をかけると、
マダニはピンセットで除去できる」
とあったので、早速やってみた。

 

結果は失敗だった。かなり強固に喰いついていて、
患者さんは痛がるし、マダニの口が皮膚に残ると
炎症性腫瘤を作ることがあるらしいので、この処置は中止して、
皮膚科の先生に紹介状を書いた。

 

翌日、ご返事をいただいた。
「タカサゴキララマダニと思います。
このマダニは口器が長く除去が困難なので、
虫を含めて皮膚を切除しました。」
とのことであった。

 

私は、「タカサゴキララマダニ」というマニアックなご返事に感動した。
知ってる人は、すごいもんだ。

 

この返事を頂いたあと、
女性登山者の肌の露出の少なさにも意味があると感心した。
ネットで調べると、マダニが人に喰いつくのは初夏が多く、
「タカサゴキララマダニ」は南西諸島に多いとのことだ。
寒風山から帰った後、
自分の背中に、なにかついているような気がするが、
よく見えない。


コメント

喰いついたら離さん、という意味で「まむしの龍」とか、とあだ名をつけますが、
「マダニの辰」なんていうのも、しぶとそうです。
「あいつぁ、ただのマダニじゃねえ、タカサゴキララだ」なんて。