こぼれ話


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その494 店三態 2019.11.1

2019/11/01


あるレストランに行った時のこと。
予約の時に、「窯の温度の具合がありますので、遅れないようにお願いします。」と言われた。
遅刻してはいけないのか。ちょっと緊張して出掛けた。
料理はかなり手の込んだイタリアンで、
魚を何とかの皮で包んでパリパリに焼いたものや、
小皿の底に隠し味的に何層かのソースが敷いてあったり、なかなかのおいしさであった。
遠目に見える厨房を見ると、オープンな感じのコンロで、
遠火から直火まで、食材とコンロの距離で調節するようだ。
一旦、料理が始まると、組まれたスケジュール通りに調理を進めてベストの火加減にするために
「遅れないでね」ということらしい。
シェフは控えめな方で料理を出しながらボソボソっと説明をしていく。でもとてもおいしい。
 
一つだけ残念だったのは、BGM。
ジャズか、現代音楽かようわからんけれどピアノが鳴っていて、
これが不協和音満載で、おいしい料理を食べている胃袋がひっくり返りそう。
「すみませんが、音に過敏なもので」と言ってBGMをオフにしてもらったら、
さらにおいしくいただけました。
シェフ、味見をなさるように、BGMもあらかじめ聴いてみてくださいね。
 
この秋、神戸に行くことがあって、遅い時間に焼鳥屋で夕食となった。
テレビはクライマックスシリーズの巨人・阪神戦。
店の親父さんはとても愛想がよい。お客との会話も弾んでいる。
「お客さん、どこのファン?」と聞かれた。
野球にあまり詳しくないし、本当は少し巨人びいきなのだが、ここは阪神の本拠地。
「いや、特にどこということはなくて」と言っておいた。
ビールと串6本を食べて、支払いを終わって店を出ると、親父さんが裏口から出てきた。
お金が足りなかったか、と思ったが、親父さんは満面の笑顔で
「ありがとうございました。またどうぞ。」と手を差し伸べる。
「ええ、また」と握手する。
 
その笑顔に会いにまた来よう、と思うところだけれど、ちょっと考えようか。
生ビールを2杯飲んだけれど、なんだかあまり酔っていない。
ビールが薄いように思う店は時々ある。
出された焼鳥、すこし温度がぬるかった。お腹、大丈夫かなあ。
 
男性客中心でいつもにぎわっているらしい店。入ってみたいと思っていたが、
一人ではいきなりのハイ・テンションについていけないようで、ためらっていた。
ある時などは、入り口に張り紙があって、
「ただいま満席です。少々お待ちください。」とあった。
都会のフードコートでは、食事時に列を作って待つのは当たり前だが、
土佐人は待つのが嫌い。別へ行ってしまう。
 
会合の後、少し遅くなって店の前に立つと、今日はすいている。
引き戸を開けると、戸は少し重かった。
背の高い大将とエプロン姿の奥さんがいて、落ち着いた声で「いらっしゃいませ」と言う。
メニューは刺身がメインのようだが、キスの天ぷらやウツボのから揚げ、
豚や牛などの肉料理など、家族連れに向いた料理もある。
グレの刺身と牛スジ煮込み、天ぷらをオーダー。
刺身は新鮮でとてもおいしい。
ツマはよくある大根の千切りではなく、大根、きゅうり、ニンジンなどを薄く切ったもの。
サラダの感覚で食べられる。
生ビールもうまい。大将も奥さんも特に話しかけてこないが、雰囲気はいい。
お勘定もまずまずサイフにやさしい。
また来よう。